池上線池上駅の駅舎を五階建ての駅ビルにするという計画が発表されました。
門前町との一体感が出るよう配慮したデザインで、開業予定は二〇二〇年九月。
改札口は二階になるとともに、南口が新設されるそうです。
また、店舗や公共施設、保育所などが入居する見込み。
池上にお住いの方からは、話し合いが行われていると聞いていましたが、議会への報告なしで、いきなり東急電鉄からマスコミの報道で知りました。
公共施設や保育所が入るということは、大田区とともに計画してきたということです。
池上図書館が入るという話も聞きますが、東急電鉄の駅舎の改修工事の前に大田区の図書館をどうするか、区民の財産である土地をどうするか、財政負担はどうなるか、といった議論が必要だったと思います。
地域住民との意見交換は必要ですが、「事業者と行政とで決めた」あとに議会がマスコミ報道で知らされることに驚いていてます。
日本の民主主義が成熟していない、フェアな民主主義でない部分が、こうした住民を極めて限定した利害関係者に止め、そこで合意して既成事実化したあとに発表するというやり方にも表れていると思います。
______
【危険な構内踏切撤去】
この池上駅開発の出発にあるのは、「構内踏切り」という問題です。
東急など鉄道事業者は、駅構内にある踏切りを危険だということで、 撤去しようとしています。
池上線にも過去には構内踏切がありましたが、この池上駅が最後に残っている形です。
10年(以上かも)ほど前に、 この池上駅構内踏切を撤去するため、池上商店街や町会、地域住民、障害者団体などがワークショップを行い、 検討しました。
構内踏切を撤去するとともに、駅双方に改札口を設け、 千鳥町のような駅になるのかあなあという感じだったと記憶しています。
同時に、バスターミナルやそこにある大田区のトイレ、 交番などの位置を変更するなどの検討も行われていましたが、 具体化するまでには至りませんでした。
課題となった一つに、駅双方に改札口を設け ることで人の動線が変わることもあげられていました。
ただ、当時は、駅の両側に改札口で、今回のような駅の上にビル建設などという話はありませんでした。
【同時に進む池上図書館廃止?駅前広場開発】
今回は、この構内踏切廃止をきっかけに、開発を行おうとしているようです。
駅前のバスターミナルや交番含めた駅前広場の改修も行われるのではないでしょうか。
そうなれば、大田区の財政負担も非常に大きなものになります。
そのうえ、
①池上図書館を廃止?
②新たに作る駅の上のビルに池上図書館が入る?
といった案もあるようです。
ただ、
③駅の上の池上図書館は面積や中身もまだ公表されていませんし、いまの池上図書館が本当に移転するならその跡がどうなるかも明らかになっていません。
④ 池上駅上のビルに図書館が入ることになれば大田区が賃料を支払う ことになりますから、そのあたりの費用負担も気になるところです。
ちなみに、前回の失敗を「教訓」に大田区は、 事前に関係者を集めて合意形成をしているようです。
【池上駅ビル建設と大田区の財政負担】
こうした、開発は、 事業者負担だからと関心があまり高くないうえ、 利便性が向上するため良いこととして進みがちです。
しかし、
多くの鉄道に関わる開発は、補助金としての税投入に加え、最終的には、 切符代などの運賃という、いずれにしても、私たちの負担で賄われるため、「 安全確保のため」だとしても手法や関連する開発は丁寧に点検する必要があります。
今回の財政負担についはまだ明らかになっていませんが、池上図書館など公共施設が入れば、その賃料というかたちで、大田区の税金が建設するビルのコストの一部を負担する構図になりますし、駅前広場の改修も行われれば、その負担の一部も大田区が担います。
池上駅前開発は都市計画マスタープランに入っていません。本来改訂しなければならない都市計画マスタープランを改訂せず、池上の開発を盛り込むため、財政負担を正当化するための後付けともいえる都市づくりビジョンを策定していますが、(3月末策定。現在未公表)こんなに簡単に財政負担が必要な事業に取り組んで大丈夫でしょうか。
↧
池上駅が五階建てのビルになることと大田区の意思決定・財政負担
↧